デザイナーによるデッキ分析(エルフ&ネイル)。 その5
2004年5月19日さて、ではセットアップ・ステージで活躍するカード群について解説を進めていきます。まず《極楽鳥》《ぶどう棚》《ワイアウッドの伝令》《ウッドエルフ》《激情の共感者》といった面々についてです。
これらのカードは序盤の主役であり、詩的な表現をするなら“キャントリップに足が生えている”といった感じです。
もっとも《ぶどう棚》だけは足が生えてるようには感じませんが。
このカード達には、2つの役割があります。マナを整えたりサーチしたりすることと、死ぬことです。死ぬ、とはすなわち《頭蓋骨締め》で締められたり、対戦相手の除去を使わせたり、チャンプブロック要員となったりすることです。そう、「死して護国の鬼となれ」の精神です。
きっと彼らは極楽浄土(オンスロートの#347か#349あたりでしょう)に迎え入れられるはずです。たまに《ゴブリンの名手》の弾幕の前に成す術もなく殲滅されてしまいますが、それもご愛嬌ということで。
例外的に、《ワイヤウッドの共生虫》絡みのトリックとして生き残れたり、対戦相手の全体除去に巻き込まれるだけだったり、《頭蓋骨締め》を引くまで生存を許されたりする事もあります。
1マナ域で例外的に大事にされるクリーチャーは《共生虫》です。
この生物は、1匹/1マナのコンボエンジンとして機能します。
戦闘力的には1/1に過ぎませんが、除去の的とするだけの価値は十分にあります。そう、それこそ神話が2ターン目に《爆片波》を打ち込むだけの価値がある生物なのです。この《共生虫》の能力が曲者(くせもの)で、“アンタップする”が効果、“手札に戻す”はコストなのです。どういう事かと言うと、「手札の戻すのにスタック、《ショック》を撃ちます」というのが不可能なのです。
《共生虫》絡みのトリックはほぼ明白でしょうが、その中でも特に効果の大きいものについて解説しましょう。まずは対神話における《ヴィリジアンのシャーマン》の使い回し効果、そして《ウッド・エルフ》を回収することによる1ターンでの土地3枚増やし効果などが重要です。
また、ブロック後にバウンスすることで死なないブロッカーを作り出したり、アタックに行った《巨像》をブロック用にアンタップしたりなどもできます。
《共生虫》を有効に使うためには以下のことに注意して下さい。
1)能力を相手のターンでも使うようにするエルフでブロックしてそのエルフを戻すという使い方が多いと思いますが、特に何もなくても相手のターンエンドに戻しましょう。相手のターンでもバウンスすれば、1体の《共生虫》で2回転分のバウンス/アンタップをできるようになるのです。
2)マナ生物は起こす、《ウッド・エルフ》の森はアンタップ・イン!
つまり、《共生虫》でマナ生物を起こしつつ《森》を持ってくれば、《ウッド・エルフ》は実質1マナでキャストしたことになるのです。
更に《花盛りの春》が出てれば、実質0マナキャストですし、複数の《花盛りの春》があればマナが増えてしまうのです。複数の《共生虫》や《ウッド・エルフ》が在れば、1ターンに5枚の土地を置くことだって夢ではないのです。
《花盛りの春》は究極のコンボカードですが、たまに手札に腐ることもあります。《花盛り》の主な役割は4ターン目に《歯と爪》を双呪で撃つことにあります。《極楽鳥》と《モックス》の助けを借りれば、なんと2ターン目にこのパーマネントを場に出すことすら出来ます。
この《花盛り》についてのチャピンのコメントは非常に的を射ています。
曰く、「《ウェイク》出してターン返って来たら勝ちだよねぇ」。
もちろん《花盛り》では+1/+1修正は付きませんが、このデッキに於いては、その修正を得たのと同じくらいのパワーを与えてくれます。
双呪で《歯と爪》を撃って3マナ余っている状況なら、《カマール》と《トリスケリオン》を持ってきて相手の土地3枚を生物にして打ち落とす、という動きも出来るのです。《花盛り》が無い状況では、《カマール》をキャストして、自分の土地を生物化して、踏み荒らし効果を使うのは困難です。
そうそう、プレイテストしていて分かったことがあります。対Elf & Nail用にサイドボーディングするにあたり壊す対象を、マナ生物/エルフ、《締め》、《花盛り》、土地などと広範囲に亘らせてしまうのは間違いです。
ただ一点、《花盛り》だけは確実に壊せるようにするのが正解なのです。
セットアップ・ステージ用のカードとして最後に登場するのが、ご存知《頭蓋骨締め》です。たまにこのカードだけで勝ててしまうので、正確な位置付けとしては、セットアップと終了ステージをつなぐカードと定義すべきかもしれません。《締め》で掘り進んでいけば、ほどなくゲームを終わらせるカードに辿り着けます。この《締め》の強さについてはもはや語り尽くされている感がありますので、本稿においてはリードデザイナーの言葉にて、このカードの説明を締め括りたいと思います。「ミラディン・ブロック最強カードが《締め》と《歯と爪》だとするなら、その両方をデッキにぶち込めばいいじゃん」
それでは、終了ステージに話を移しましょう。まずは《歯と爪》について解説したいと思います。《歯と爪》は、このカード単体としては全く機能しません。ノン・クリーチャーデッキにこのカードを入れても無意味なわけで、このカードを使うからには、デッキに最適なデカブツ達を入れておく必要があるのです。さて、このカードがメインで3枚な理由ですが、Elf & Nailは十分なドロー能力を持っており、4枚も《歯と爪》を入れると手札に腐ってしまうことが多いのです。3枚しか使っていない現状でさえ、《モックス》で刻印する筆頭候補がこの《歯と爪》なのです。4枚目がサイドボードに入っている理由は、対赤単ゴブリンの勝ち筋が《花盛りの春》から《歯と爪》につなげることしか無いからです。
ここで、《歯と爪》の主な注意点について説明したいと思います。
1)サーチしてきたカードを必ずしも場に出さなくても良いこと
しばしば、最も出したいカードが手札の中に居ることがあります。そんな時は、コストの安い生物をサーチしてきて、その生物は次のターンに素で呼ぶために温存するといったプレイングをします。
2)時にはコストの安い生物をサーチすることもあること
例えば、対電結神話で《歯と爪》双呪した場合、持って来るのは《共生虫》と《シャーマン》だったりします。もちろん、この時《シャーマン》達を出すのを後回しにして、手札に居たデカブツを出しても良いのですが、状況によっては《シャーマン》+《共生虫》コンボを優先することもあるので覚えておいて下さい。
これらのカードは序盤の主役であり、詩的な表現をするなら“キャントリップに足が生えている”といった感じです。
もっとも《ぶどう棚》だけは足が生えてるようには感じませんが。
このカード達には、2つの役割があります。マナを整えたりサーチしたりすることと、死ぬことです。死ぬ、とはすなわち《頭蓋骨締め》で締められたり、対戦相手の除去を使わせたり、チャンプブロック要員となったりすることです。そう、「死して護国の鬼となれ」の精神です。
きっと彼らは極楽浄土(オンスロートの#347か#349あたりでしょう)に迎え入れられるはずです。たまに《ゴブリンの名手》の弾幕の前に成す術もなく殲滅されてしまいますが、それもご愛嬌ということで。
例外的に、《ワイヤウッドの共生虫》絡みのトリックとして生き残れたり、対戦相手の全体除去に巻き込まれるだけだったり、《頭蓋骨締め》を引くまで生存を許されたりする事もあります。
1マナ域で例外的に大事にされるクリーチャーは《共生虫》です。
この生物は、1匹/1マナのコンボエンジンとして機能します。
戦闘力的には1/1に過ぎませんが、除去の的とするだけの価値は十分にあります。そう、それこそ神話が2ターン目に《爆片波》を打ち込むだけの価値がある生物なのです。この《共生虫》の能力が曲者(くせもの)で、“アンタップする”が効果、“手札に戻す”はコストなのです。どういう事かと言うと、「手札の戻すのにスタック、《ショック》を撃ちます」というのが不可能なのです。
《共生虫》絡みのトリックはほぼ明白でしょうが、その中でも特に効果の大きいものについて解説しましょう。まずは対神話における《ヴィリジアンのシャーマン》の使い回し効果、そして《ウッド・エルフ》を回収することによる1ターンでの土地3枚増やし効果などが重要です。
また、ブロック後にバウンスすることで死なないブロッカーを作り出したり、アタックに行った《巨像》をブロック用にアンタップしたりなどもできます。
《共生虫》を有効に使うためには以下のことに注意して下さい。
1)能力を相手のターンでも使うようにするエルフでブロックしてそのエルフを戻すという使い方が多いと思いますが、特に何もなくても相手のターンエンドに戻しましょう。相手のターンでもバウンスすれば、1体の《共生虫》で2回転分のバウンス/アンタップをできるようになるのです。
2)マナ生物は起こす、《ウッド・エルフ》の森はアンタップ・イン!
つまり、《共生虫》でマナ生物を起こしつつ《森》を持ってくれば、《ウッド・エルフ》は実質1マナでキャストしたことになるのです。
更に《花盛りの春》が出てれば、実質0マナキャストですし、複数の《花盛りの春》があればマナが増えてしまうのです。複数の《共生虫》や《ウッド・エルフ》が在れば、1ターンに5枚の土地を置くことだって夢ではないのです。
《花盛りの春》は究極のコンボカードですが、たまに手札に腐ることもあります。《花盛り》の主な役割は4ターン目に《歯と爪》を双呪で撃つことにあります。《極楽鳥》と《モックス》の助けを借りれば、なんと2ターン目にこのパーマネントを場に出すことすら出来ます。
この《花盛り》についてのチャピンのコメントは非常に的を射ています。
曰く、「《ウェイク》出してターン返って来たら勝ちだよねぇ」。
もちろん《花盛り》では+1/+1修正は付きませんが、このデッキに於いては、その修正を得たのと同じくらいのパワーを与えてくれます。
双呪で《歯と爪》を撃って3マナ余っている状況なら、《カマール》と《トリスケリオン》を持ってきて相手の土地3枚を生物にして打ち落とす、という動きも出来るのです。《花盛り》が無い状況では、《カマール》をキャストして、自分の土地を生物化して、踏み荒らし効果を使うのは困難です。
そうそう、プレイテストしていて分かったことがあります。対Elf & Nail用にサイドボーディングするにあたり壊す対象を、マナ生物/エルフ、《締め》、《花盛り》、土地などと広範囲に亘らせてしまうのは間違いです。
ただ一点、《花盛り》だけは確実に壊せるようにするのが正解なのです。
セットアップ・ステージ用のカードとして最後に登場するのが、ご存知《頭蓋骨締め》です。たまにこのカードだけで勝ててしまうので、正確な位置付けとしては、セットアップと終了ステージをつなぐカードと定義すべきかもしれません。《締め》で掘り進んでいけば、ほどなくゲームを終わらせるカードに辿り着けます。この《締め》の強さについてはもはや語り尽くされている感がありますので、本稿においてはリードデザイナーの言葉にて、このカードの説明を締め括りたいと思います。「ミラディン・ブロック最強カードが《締め》と《歯と爪》だとするなら、その両方をデッキにぶち込めばいいじゃん」
それでは、終了ステージに話を移しましょう。まずは《歯と爪》について解説したいと思います。《歯と爪》は、このカード単体としては全く機能しません。ノン・クリーチャーデッキにこのカードを入れても無意味なわけで、このカードを使うからには、デッキに最適なデカブツ達を入れておく必要があるのです。さて、このカードがメインで3枚な理由ですが、Elf & Nailは十分なドロー能力を持っており、4枚も《歯と爪》を入れると手札に腐ってしまうことが多いのです。3枚しか使っていない現状でさえ、《モックス》で刻印する筆頭候補がこの《歯と爪》なのです。4枚目がサイドボードに入っている理由は、対赤単ゴブリンの勝ち筋が《花盛りの春》から《歯と爪》につなげることしか無いからです。
ここで、《歯と爪》の主な注意点について説明したいと思います。
1)サーチしてきたカードを必ずしも場に出さなくても良いこと
しばしば、最も出したいカードが手札の中に居ることがあります。そんな時は、コストの安い生物をサーチしてきて、その生物は次のターンに素で呼ぶために温存するといったプレイングをします。
2)時にはコストの安い生物をサーチすることもあること
例えば、対電結神話で《歯と爪》双呪した場合、持って来るのは《共生虫》と《シャーマン》だったりします。もちろん、この時《シャーマン》達を出すのを後回しにして、手札に居たデカブツを出しても良いのですが、状況によっては《シャーマン》+《共生虫》コンボを優先することもあるので覚えておいて下さい。
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