夏の甲子園にはジンクスがあります。それは、

【真紅の優勝旗は白河の関を越えない】

というものです。
現在でいうと福島県白河市にあるこの関所、寛政の改革で有名な老中・松平定信の居城としても有名ですね。

これより(地図上でいうところの)上に甲子園の優勝旗は一度も行った事がないのです。
今回、決勝を戦う済美は愛媛県の代表校、そして駒大苫小牧は南北海道の代表校。
後者が勝つと、白河の関はおろか、一気に津軽海峡まで越えてしまいます。
東北勢の期待が集まる中、さて試合の行方は…?



初回、二回、と連続得点で相手を突き放したのは済美。5−1。
しかし重量打線の駒大苫小牧も負けていません。次のイニングに2点、さらに次の回には3点を追加。5−6で逆転に成功します。

逆転されて1点を追う済美は5回、2本の二塁打で1点を追加。同点に追いつきます。
さらに続く6回、ホームランを含む3点を追加! 9−6。これは勝負あったか…?

6回の裏、3点のビハインドで迎えた駒大苫小牧。
今度はこちらがツーランホームランを含む3点!
スコアは9−9。勝負は振り出しに戻りました。

それでも駒大苫小牧の打線が止まりません。
続く7回裏にも3点を追加し、これで9−12。

しかし済美も粘ります。8回表に1点を追加、10−12。

そしてこの8回の裏、何よりも重い1点。
1点が駒大苫小牧に入ってしまいます。これは済美、相当に苦しい…。

最終回の攻撃。打順は9番からです。
ふたり塁に出れば今大会最強のスラッガー「鵜久森」まで回ります。
9番、気力でセンターまで運ぶ外野ゴロ。ノーアウト1塁。

続く1番は初球をレフトへ運ぶタイムリー。ノーアウト1ー3塁。チャンスを広げます。

これで打順は4番の鵜久森まで回る計算。
この最終回にもドラマは待っているのでしょうか…?

両校応援団のボルテージは最高潮。
甲子園球場全体が叫んでいるような大声援が地面を揺るがします。

バッターボックスには2番。
打った打球はなんと、ショートの正面へ!
ここにきて最悪のゲッツー。ツーアウト3塁。

最後のバッターとなるか? それとも4番へ回せるのか?
済美の3番バッター登場です。

相手はストレートで押してくる豪腕投手 鈴木。
最後もすべてストレートで勝負にきました。
が、済美の3番はくさい球だけファールで逃げてフォアボールを選択。
これでツーアウト1−3塁。ラストバッターは4番、鵜久森!

一打同点のチャンス。ここは敬遠されてもしょうがない局面です。
しかし! 鈴木は鵜久森との勝負を選択! 4番と最後の大勝負!

初球。137キロで投げられた高めのストレートでした。
鵜久森のバットがしなります。カキーン!

白球の行方は…!? 逆転の1打が出てしまうのか…?

しかし結果は無念のショートフライ。
この瞬間、駒大苫小牧の優勝が決まりました。

崩れ落ちる済美ナイン。対照的に歓喜を爆発させる駒大苫小牧の選手たち。
涙を流す両校の選手たち。その涙はとても綺麗でした。



結果だけみると打撃戦のように見えた決勝ですが、別に投手が甘かったわけではありません。
両校の投手は好投しました。しかし、両校の打線がそれを越えていたのです。
3割5分のチーム打率を誇る駒大苫小牧が、済美のそれよりも若干上回った、そんな印象を受けました。

しかし見ごたえのある名勝負でした。
今年の決勝戦は甲子園史上に名を残す名勝負となるでしょう。
高校野球見て涙流すほど感動したのは初めてですよ。

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