○○さーん! お届けモノでーす!
○○さーん! お届けモノですよー!

なんだなんだ? と玄関扉を開けると、パリッとしたスーツ姿の男性が。歳は40代半ばくらい。

「はい! ワタクシ、読売のイガラシと申します! 以前は半年ほど新聞を取って頂き、ありがとうございました! その感謝の意味を込めましてですね、ワタクシ、挨拶周りをさせていただいております! はい! こちらのほう、どうかお受け取りください!」

ビール拳を3000円分と謎のディズニーグッズ(?)を手渡すイガラシ氏。1枚500円の券を一枚一枚カウントし、大げさに手渡す。

イガラシ氏:「タチの悪い勧誘員を寄越すより、年に一度だけワタクシが挨拶周りしたほうがよろしいでしょう! 社長からもね! 長年良いお付き合いをさせて頂いたと伺っておりますですよ〜! もう勧誘員は来させません! 約束します! あ、洗剤はたくさん置いていきますので!」

イガラシ氏、ここで懐に手を入れつつ。

イガラシ氏:「今年は朝日さんを取っていらっしゃるみたいで…。まことに残念ですが! 今年は諦めます! 2紙も取ると大変ですからね! ですから! 来年はウチを取って欲しいんですよ〜。1年ずつ交代交代で! 半年だけでも結構です! ねっ? ええ、今年は朝日さんですからね、諦めます。きっぱり! ですから来年はウチを取ってくださいよ! (この時、室内犬のチコが玄関にやってくる)あら! 可愛いワンちゃんですねー! ワンちゃん可愛いからビール券もう一枚サーヴィスしちゃう! 犬が大好きなんですよ、私! う〜ん、可愛い! もう一枚上げちゃおう! これはワンちゃんにですからね! おいしいドッグフード買ってあげてくださいね!(ビール券で買えるのかよ…)後で洗剤もたくさん持ってきますからね!(と、ここで伝票のようなモノを取り出す五十嵐氏)はい! で、こ・ち・ら・に! ですね! お電話番号だけ頂きたいんですよ! お名前とご住所は結構です! わかっておりますのでね! お電話番号だけお願いしまーす!(と、ボールペンを手渡す)」

サッと目を通した限りでは、なにやら簡易契約書のようなものみたいです。
二重になっており、書いたものが下の紙にも残る仕組み。
後から不利な契約を加えられそうなヤバいシロモノでした。

筆者:「……つまり、これは契約ですね?」
イガラシ氏:「はっ?」
筆者:「実はですね、ウチが取っている新聞は朝日でなく、日経なんですよ。朝日は取っていません」
イガラシ氏:「…………。」
筆者:「ここに電話番号を書くと、自動的に来年の契約が成立するワケですね? そういう事でしたら、こちらのほうはお返しさせて頂きます」
イガラシ氏:「…………。」

イガラシ氏、しばし呆然とする。
手ごたえもバッチリ、セールストークにも自信アリ! だったようなのですが、まさかの未契約、と言ったトコロでしょうか。

イガラシ氏:「……わ、わっかりました! それでは、これで失礼させていただきますー! どうも失礼しましたー!(バタン)」

五十嵐氏は筆者に手渡したボールペンすら忘れ、スタコラサッサとクルマで逃走していきました。
ふぅ、手ごわい相手だったぜ…。

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